化学的特性

トチュウエラストマーの各種グレード
トチュウエラストマーの各種グレード

トチュウより抽出したトチュウエラストマー粗精製品は、トランスポリイソプレンを主成分にリグノセルロースやその他の植物組織由来成分を少量含みます。
高純度品はこれらの植物組織由来成分を除いたもので、トランスポリイソプレン含量が99 %以上になります。トランスポリイソプレンはクロロホルム、トルエン、THFなどの非極性溶媒に対して溶解性を示し、トチュウエラストマーの高純度品もこれらの溶媒に可溶です。

H-NMRスペクトル
H-NMRスペクトル
C-NMRスペクトル
C-NMRスペクトル

トチュウエラストマーがトランスポリイソプレンを主成分としたポリマーであることは、NMR分光法を用いた分析により示すことが出来ます。
トランスポリイソプレンはイソプレンユニットが重合した分子構造を取り、メチル基、メチレン基、メチン基を所持します。これらはそれぞれ1H-NMRにより測定すると、1.6、2.00、2.06、5.12 ppmに特徴的なピークを与えます。また13C-NMRでは、16、27、40、124、135 ppmにシグナルが得られます。トチュウエラストマーをNMRにより分析すると上記のシグナルを検出することが出来ます。

トチュウエラストマーの分子量分布
トチュウエラストマーの分子量分布

一方、トチュウ果皮より製造したトチュウエラストマー粗精製品の分子量は、標準ポリスチレン換算により重量平均分子量(Mw)1.8x106、数平均分子量(Mn)1.2x105に達し、多分散度Mn/ Mwが15.7の単峰性ポリマーであることが分かっています。これは化学合成されたトランスポリイソプレンに比べて非常に高分子量成分の多いポリマーです。
また、これらの分析はサイズ排除クロマトグラフィー(SEC-RI)により行いますが、現在の測定法では可溶化された分析可能な成分のみを測定しており、実際のトチュウエラストマーは、さらに高分子量成分が多く含まれるポリマーであると考えられます。しかし、100万を超える超高分子量化合物の分析は簡単ではなく、今後より詳細な解析が必要とされる部分です。

トチュウエラストマーに含まれるトランスポリイソプレン以外の天然成分は、まだ詳細には不明です。トチュウは生薬、健康食品原料として用いられ、その組織にアウクビンやゲニポシド酸などのイリドイド系化合物、プロトカテク酸などのポリフェノール、ルチンなどのフラボノイドといった化合物が含まれることが分かっています。トチュウエラストマーにもこれらの成分が不純物として含まれる可能性が考えられます。