物理的特性

トチュウエラストマーは天然ゴムと同じイソプレンユニットを基本とするポリマーですが、分子構造が異なるため天然ゴムのようなゴム性質を示しません。

トチュウエラストマーの応力・ひずみ曲線
トチュウエラストマーの応力・ひずみ曲線
チュウエラストマーのDSCサーモグラフ
トチュウエラストマーのDSCサーモグラフ
トチュウエラストマーのTGサーモグラフ
トチュウエラストマーのTGサーモグラフ

トチュウエラストマーは結晶性のエラストマーであり、引っ張り試験の結果では初期の歪に対して高い応力を示し、初期弾性率(ヤング率)が高い傾向にあります。また、S-Sカーブ上にわずかですが降伏点が現れ、引張荷重による結晶の崩壊が生じて降伏点として現れたと考えられます。

一方、トチュウエラストマーの引張破断強度、破断伸びはそれぞれ17.8 MPa、310 %で、曲げ強度、曲げ弾性率はそれぞれ16.6 MPa、316 MPaを示します。これは低密度ポリエチレン(LDPE) やポリプロピレン(PP)に近い物性と考えられます。

さらに耐衝撃性の分析では、アイゾット衝撃試験318J/mであり、こちらは高密度ポリエチレン(HDPE)やポリプロピレン(PP)より高くABS樹脂や耐衝撃性ポリスチレンに近い値を示します。このためトチュウエラストマーは耐衝撃性に優れた素材だと言えます。

これらの点からトチュウエラストマーは、ポリエチレンやポリプロピレンなどのプラスチックに近い素材である一方で耐衝撃性に優れ、この性質を活かすことで耐衝撃性に劣るプラスチックに対する改質剤としての利用法が想定されます。

また、トチュウエラストマーの温度特性としては、脆化温度が-51 °Cでポリプロピレンよりも低く、低温域での使用がある程度可能であることを示すのに対し、320 °C近辺から分解が始まるため、高温域での加工や使用には難点があると考えられます。室温近辺での使用に適しており、この温度域ではトチュウエラストマーは20 °C近辺から70 °C近辺までの広い範囲に渡って結晶の融解による吸熱が続くという特徴を示します。融点はおよそ60 °Cであり、ポリマーとしては比較的低融点です。このような温度域での加工・成型が容易な素材であると言えます。